二ヶ月ほど前の大雨の日、風呂場の窓から迷い猫がやってきた。
風も強く、とても寒い日だったから、風呂上がりの湯気に誘われてやってきたんだろう。
白黒の虎模様のその猫は、まだ若く、下の寿司屋では「ふー」と呼ばれてかわいがられている。それもそのはず、ここらのノラの中でも格別に美形で、毛並みもよく、若さからも元気溢れる....といった感じ。
冬の寒さから逃れる為に来ているんだろうと思い、タオルを敷いて置いておいた。
そしてその日から、うちの風呂場へ通うようになった。
毎晩、深夜1時過ぎにノラ猫たちの集会がある。
それは近所に住むおばさんが、猫たちの為に餌を撒きに来る時間で、彼らもいつものように家の前の駐車場にぞろぞろ集まって来る。
その数10匹前後。
深夜の晩餐会だ。
ある日、おばさんに話すきっかけがあって、色々と話を聞いていたら、おばさんはおばさんでやっぱり別の名前で呼んでいて、きっと彼らは昼間、また別の場所で別の名前で呼ばれているんだろう。
毎日毎日決まった時間にやって来るおばさん。
でも、雨の日は来ない。
そしていつの間にか雨の日は、うちの風呂場が会場になった。
そんな月日がすぎ、最近は「ふー」が住みつきはじめた。
ドアを開けておけば家の中まで入って来て、遠くからこちらの様子を伺っている。
そしてそんな姿をみたうちの黒猫は、おどおどしながら逃げてゆく。
...どっちが住人だか。
少しづつ馴れてきたある日、いたずら好きの本性を出して、ちょっとした罠を仕掛けた。
それは、部屋の中に入ってきたら、唯一の逃げ道であるドアが閉まるように。
つづく....